07年9月、女子高校生の暴力シーンが描かれたとして、アニメ「ひぐらしのなく頃に解」と「スクールデイズ」の2作品の放送が相次いで中止された。理由は、京都府警の巡査部長(45)が専門学校生の次女(16)に殺害された事件を受け、「影響を考慮して」や「不快に思われる恐れがある」といったものだった。その後、「ひぐらし…」は一部の局で放送され、「スクールデイズ」はCS放送で18歳以上という年齢制限付きで流された。そして両作品と事件との関係を証明したという報道は今のところない……。
◇
99年12月、京都市伏見区の小学校で児童が殺害される事件があった。現場には「てるくはのる」という謎のメモが残され、メディアはこぞって「謎解き」に奔走した。「ゲームの呪文」「マンガのせりふ」など諸説が流れたが、その後、自殺した容疑者の遺書から、市販されている名言集から取った意味のないものだったことが明らかになった。
88年から89年にかけて埼玉と東京で4人の幼女が殺害された連続誘拐殺人事件で殺人罪などに問われ、死刑が確定した宮崎勤死刑囚は、自宅からアニメなどのビデオが大量に発見された。この事件を契機に「オタク」という言葉が一般的に使われるようになり、当時は事件と関連付けた報道が無数にあったが、1、2審の審理でも相関関係は証明されなかった。
その後も、ゲームでの残虐表現が問題視されて全国の自治体での規制の動きが起こり、06年にはゲーム業界団体の「CESA」が、ゲーム年齢区分の「CEROレーティング」に“18禁”の「Z」区分を導入、5月から適用を始めた。Z区分のゲームソフトを取り扱わない販売店も出ている。
同年には、警察庁の「バーチャル(仮想現実)社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」の最終報告書で、ゲームの暴力シーンや性描写のあるコミックの子供への影響を指摘、同庁は業界団体に販売規制などの取り組みを求めている。
マンガの自主規制問題などに詳しい山口貴士弁護士は「一般論で言うと、元々表現規制の動きは、少年犯罪の抑止が目的で論じられてきたが、アニメやマンガ、ゲームと少年犯罪の因果関係は証明できていない。しかし、こうした規制をしたいという人々がいて、少年事件などと関連づけた報道が、規制をする側の材料になっている」と指摘する。
◇
08年のいま、アニメやマンガ、ゲームは「コンテンツ産業」と呼ばれて日本の重要な輸出産業として位置づけられ、外国人観光客誘致の目玉として期待されるなどの盛り上がりを見せている。一方で、残虐な少年犯罪などが起きると、こうした「コンテンツ」との関連が取りざたされる状況は変わっていない。むしろ、インターネットの普及により、憶測や興味本位で取り上げられる傾向は進んでいるようだ。
アニメやマンガ、ゲームは、その誕生以来、「表現の自由」と「規制」の論議が続けられてきたと言ってもいいだろう。制作の現場では、どんな思いで「コンテンツ」を生み出しているのだろうか。それぞれの現場から、現状と課題を探っていく。
2008年1月31日
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20080131mog00m200001000c.html